内なる自分と対話し、自分らしくある世界

いま、本の販売数は年々減少しています。人口の変化、ライフスタイルの変化、デジタル化。こうした流れの中で「なぜ、いま出版社なのか」、「なぜインナーチャイルドやアダルトチルドレンをテーマに掲げているのか」この記事ではそれについて思いを綴りたいと思います。

独立系の本屋が増えています。
文フリや即売会では、作り手の顔が見える本を求めて、たくさんの人が集まっています。
冒頭の問いのヒントをわたしはここに見出しています。それは、「本」という形でこそ語られる物語が、まだ強く求められていることの現れだと思うのです。あるいは、ますますその求めは強くなっているのではないかとも感じています。

本には、大きく2つの側面があると私は考えています。
ひとつは、情報を伝えるツールとしての側面。
もうひとつは、物語を伝えるツールとしての側面です。

世の中はどんどん情報が断片化し、流れていくようになりました。SNSや生成AIによって、必要な情報をピンポイントに得ることができます。そうした時代において、「情報を伝えるための本」の価値は、相対的に下がっているのかもしれません。
しかしその一方で、「物語を伝える本」としての価値は、むしろ増している。わたしはそのように感じています。

本屋を歩いていると、「うつ病」「HSP」「適応障害」「毒親」「愛着障害」といったテーマの本が平積みにされているのを目にします。そして実際、多くの人がそれらを手に取っているのも目にします。

なぜでしょうか。
それは、単に情報を知りたいからではなく、生きる指針として、心の拠り所として、本を必要としているからです。
インターネットを使えば、断片的な情報は得られるかもしれません。でも、人が本を必要とするときというのは、何かを本気で知りたいときであり、心の奥深くに触れて、自分自身について深く考えたいときなのだと思います。そして、その思いに応えるための本が必要とされています。

andnpの理念は、「一人ひとりが内なる自分と対話し、自分らしくある世界」です。そのために良質なコンテンツを作り、そしてそれをキーにして物語を紡ぐようにできればと思っています。また、それを単なる「販売」に留めず、イベントやワークショップを通じて、読者や書店、関係者の方々とともに物語を紡いでいくような存在でありたいと想っています。


「一人ひとりが内なる自分と対話し、自分らしくある世界」
これはなにもインナーチャイルドやアダルトチルドレンの当事者に限ったことではありません。誰しもが、そうありたいと願っている。
そう信じて、わたしは本を届けていきたいと想っています。

不慣れなため至らぬ点も多くあるかと思いますが、関係者の方々には、どうぞ、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。